
外壁塗装で使用する道具の種類と使いこなすための基礎知識
外壁塗装に使用する道具はどのようなものがある?
外壁塗装は様々な工程があり、そのそれぞれで様々な道具を使用します。
例えば塗料を塗る作業であれば、ローラー、刷毛、スプレーを使用しますし、下地処理であれば、皮スキ、ワイヤーブラシなどを使用します。また養生ではマスキングテープや養生シートを使用しますが、シートとテープが一緒になったマスカーのような便利な道具も使用します。
ホームセンターや通販で1,000円未満で購入できるような簡単なものもあれば、業務用高圧洗浄機など、素人や一回だけ塗るような塗装では絶対に入手できないような高額な道具や、レンタルするだけでも高額な仮設足場などもあります。これらの業務用の道具を使うとさらに効率よく丁寧に外壁塗装を行う事が可能です。
DIYを行うのであれば、購入できるもの、出来ないものを考えて、予算がどれくらいなのかを見ながら、必要なものだけを購入し、実践するようにしましょう。
最も使用する塗り道具ローラー
塗装に使用するものはローラー、刷毛、スプレーガンといくつかありますが、塗装全体の8割の作業がローラーを利用したものです。外壁というのは基本的には平なものなので、ローラーで塗れるところはローラーで塗り、細かい所は刷毛(はけ)で塗る、というのが一般的な工法です。
羊毛ローラー(ウールローラー)
ローラーの中でもさらに使われる頻度が多いローラーです。ウールローラー、ウーローラーなどと言う場合もあります。
羊毛のように柔らかな繊維で出来たローラーで、今現在ある模様をつぶさずにそのまま塗る事が出来ます。また、塗膜を均一に塗りやすいです。マイクロファイバーを使用したマイクロファイバーローラーも羊毛ローラーと同様です。
羊毛ローラーは毛足の長さによって短毛、中毛、長毛の3種類に分けることが出来ます。毛足の長さと特徴は以下の通りです。
ローラーの名前 | 毛足の長さ | 説明 |
短毛ローラー | 5mm前後 | 平らを塗りやすいローラーです。また目地など、へこみ部分を塗りたくないときに使われます。 |
中毛ローラー | 13mm前後 | 中間の毛の長さで、3種類の中でも最も使ういろいろな所に使えるローラーです。 |
長毛ローラー | 20mm以上 | 表面がデコボコしている所などに使用するローラーです。タイルを溝ごと塗る時などに使用します。 |
砂骨ローラー(さこつローラー)
中にたくさんの空洞があるために、塗料を一度にたくさん吸い上げることが出来るローラーです。主に塗料を分厚く塗りたいときや、単層弾性塗料と呼ばれるようなどろどろの粘度が高い塗料を塗る時に使われるローラーです。羊毛ローラーとよく使い分けられるローラーです。
砂骨ローラーの別名と由来
非常にややこしいお話しですが、砂骨ローラーは様々な呼ばれ方をします。由来によって呼び方が違うだけでだいたいは同じ砂骨ローラーの事を指します。以下にまとめました。
- 砂骨ローラー
細かい砂などが混ざったものを砂骨といい、その砂骨入り塗料を塗る為のローラーとして使われていた事から。 - マスチックローラー
昔からあり、今でも製造されているマスチック塗料を塗る為のローラーとして使われていた事から。マスチックには大量に塗り固めるという意味もあるようです。 - 多孔質ローラー
孔とは穴の事で、穴がたくさん空いているローラーという意味から。 - パターンローラー
塗るだけで模様をつける事が出来る事から。ロールスタンプのように塗るだけで本格的な模様が出てくるローラーもあります。その場合はデザインローラーと呼ばれる場合もあります。 - スポンジローラー
スポンジのようなローラーという意味から。
刷毛(はけ)で細かい所に塗装する
ローラーで平らな部分を含めて大部分を塗装しますが、細かい部分に関しては、昔ながらの刷毛を使用します。刷毛の歴史は非常に古く、縄文時代から原型があったとまで言われます。
外壁塗装でよく使われるのは平刷毛(ひらばけ)、筋交い刷毛(すじかいばけ)、寸胴刷毛(ずんどうばけ)、目地刷毛(めじばけ)、隅切り刷毛(すみきりばけ)などが使用されます。それぞれの特徴をまとめると以下の表のようになります。
刷毛の名前 | 説明 |
平刷毛 | 平らな刷毛で、一度に広い面積を塗る事が出来ます。昔は平刷毛をメインに塗装工事を行いましたが、今はローラーの方がよく使われます。ベタ刷毛とも呼ばれます。 |
筋交い刷毛 | 柄に対して、毛が生えている部分から45度の角度で曲がっているのが特徴。角や細いところなど、細かい所を塗りやすくなっています。 |
寸胴刷毛 | 平ではない寸胴のような刷毛。塗料の含みが良いのでたくさんの塗料を一度に塗る事が出来ます。粘度の高い塗料も寸胴刷毛で塗ります。 |
目地刷毛 | 細い刷毛で、溝や目地など細かい所に塗る為の刷毛です。 |
隅切り刷毛 | 隅とはすみっこの事。端や狭いところなど、主に補修用の刷毛です。ダメ込み刷毛と同じような形状です。 |
ラスター | ダスターとも言います。掃除などに使われる刷毛です。 |
鉄骨刷毛 | 鉄骨などの金属部に使われる刷毛です。 |
水性刷毛 | 水性塗料を塗る事が出来る刷毛です。主にナイロンなどの化学繊維で出来ています。獣毛だと刷毛の中で塗料が固まってしまう為、固まらない水性専用の刷毛が作られました。100%化学繊維のものもあれば、獣毛との組み合わせで作られているものもあります。 |
養生(ようじょう)に使う道具
スプレーはもちろん、ローラーや刷毛で塗料を塗る時は、塗る場所はもちろん、塗らない場所にも気をつける必要があります。塗らない場所を塗れないようにビニールやテープを使ってカバーする事を養生(ようじょう)と言います。ここでは外壁塗装を行う際の養生道具について確認しましょう。
マスキングテープ
マスキングテープは後からきちんと剥がせるテープで、柄入りのものが文房具として流行っていますね。外壁塗装でも貼って後から剥がすという事は変わらないのですが、外壁などの外のものにはるので、粘着力があった方が良いことと、後からきちんと剥がれる事が大事になってきます。
DIYで失敗する事として、マスキングテープを百円均一などの安物にしてしまって、後から剥がそうと思うと接着剤だけ面に残ってべとべとになってしまうという事です。こういう事がないように、出来ればそこそこ品質が良いものを選ぶようにしましょう。
ちなみに外壁や屋根の質によってテープが張り付かないという場合は、テーププライマーという塗料を塗って、テープをくっつきやすくします。
養生シート
養生シートは「養生するためのシート状のもの」ということでごっちゃにされる場合があります。外壁塗装を行う時に、足場と一緒に組み立てて家の周りをぐるっと囲むシートは飛散防止シートといって、塗料が飛び散らないようにするものですが、ソフトメッシュシートとも呼びますし、これを養生シートと呼ぶ業者さんも居ます。
基本的には養生シートというものは、透明のビニールシートで、外壁を塗装する際に窓枠などを覆うように取り付けるものの事を指します。カッターやはさみで切らなくても手で切れてしまうノンカッタータイプというものが便利です。
マスカー
マスカーは塗装などならではのアイディアグッズという感じで、マスキングテープと養生シートが一緒になったものです。シートを抑えながらテープで留めるという作業が必要ないので、DIYでも大いに活躍する道具と言えます。
ガムテープのような太さですが、貼り付けた後にビニールの部分だけ広げられるので、広範囲を簡単に養生できます。
車用、バイク用養生カバー
車やバイクを一台まるまる覆える大きなビニール製のカバーです。その家のものだけでなく、近所の家の車にもしておくと塗料に関するトラブルが少なくて済むでしょう。しかし、高級車などの場合は、養生カバーを取り付けることでも傷がつくなどで後々トラブルになる可能性があるので、近所の人の車に養生カバーをつける場合は、持ち主にきちんと許可を取るようにしましょう。
地処理に使う道具
外壁塗装において非常に大事なのは今現在塗装されている旧塗膜をしっかりと落とすことです。高圧洗浄機でもしっかり落としますがそれ以外にも様々な道具を使って外壁や屋根の下地処理を行います。下地処理を行う道具を確認しておきましょう。
皮スキ(かわすき)
皮剥きと書きます。金属製のヘラで、様々な事に使う万能道具です。DIYを行うのであれば、是非一つ購入しておきたいものの一つです。職人さんはこの皮スキを使っていろいろな事をやります。以下に簡単にまとめてみました。
- 高圧洗浄で落としきれなかった外壁の剥がれや、剥離剤を使って浮かせた旧塗膜を金属部分でガリガリとそぎ落とす(ケレン作業と言います)。
- スレート屋根が塗料でくっついてしまったところをバリバリと剥がす(縁切り作業と言います)。
- 塗料缶のふたがきっちりはまってしまっていたり、塗料で固まっている場合に空ける。
- 塗料缶がふた式ではなく、缶切り方式だった場合、皮スキを使って缶切りのように缶を空ける。
サンドペーパー
外壁塗装業界ではサンドペーパーと呼ぶことが多いですが、要は紙やすりの事です。ケレン作業や、目荒らし(塗料がよく付着するために表面をわざと傷つけること)、そして、玄関ドアなどものによっては仕上げに使う事もあります。
サンドペーパーは目の粗さによって分類されており、番号が決められています。数が小さいほど目が粗く、大きいほど細かくなります。
例えば、40番(#40とも書く)などは非常に洗いので、塗装などを剥がし落とすときに使います。200番前後が普通の荒さで、400番前後が外壁塗装時に使う中では細かい部類になります(2000番とかは外壁塗装では使いません)。DIYを行うのであれば、この40~400番の間を4種類ほど持っておくと良いでしょう。
サンドペーパーよりもさらに荒くて強く削り落としたい場合はナイロンタワシ(ハンドパッドともいう)や、ワイヤーブラシを使います。様々な下地処理道具を効率よく使い、サビや旧塗膜を落とします。
最後に…。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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