
ほんの十数年前には主流として活用されていた「ウレタン塗料」ですが、「シリコン塗料」や「フッ素塗料」など高性能な塗料の登場とともに需要を減らしつつあります。しかし用途によっては「ウレタン塗料」の持つメリットを生かし、多くのシーンで選ばれている塗料です。
今回は「ウレタン塗料」のメリットとデメリット、そしてどのように活用するとメリットを生かした使い方ができるのかなど詳しくご紹介したいと思います。
ウレタン塗料の特徴とは
ウレタン塗料とは、主要成分にウレタン系樹脂を使用している塗料のことをいいます。おもに、主剤としてポリオールを使っているものを「ポリウレタン樹脂塗料」、アクリルポリオールを使っているものを「アクリルウレタン樹脂塗料」として分類します。
「アクリルウレタン樹脂塗料」はアクリルという名称が含まれていますが、アクリル塗料ではなく、ウレタン塗料のことを指すため注意しておきましょう。
まずはウレタン塗料のメリットとデメリットについてご紹介いたします。
ウレタン塗料のメリット
- コストが安い
- 光沢のある仕上がり
- メンテナンス性に優れる
- 柔らかくひび割れしにくい
ウレタン塗料はコストが安いことが特徴です。価格帯としては、塗料のなかで最もグレードの低いアクリル塗料と現在主流のシリコン塗料の中間に位置します。
また光沢を持つ高級感のある仕上がりを実現できることや、密着性に優れメンテナンスしやすいこともウレタン塗料の魅力です。
その他にも、柔らかくひび割れしやすい特徴がありますが、他の塗料にも弾性タイプがあり、それらを使用することで塗膜のひび割れを抑制できます。
ウレタン塗料のデメリット
- 耐久性に劣る
- 紫外線で変色しやすい
- 湿度に弱い
ウレタン塗料は、主要な塗料のなかでも比較的耐久性に劣ります。耐久年数の目安はおよそ8~10年で、アクリル塗料の5~7年と、シリコン塗料の10~15年の中間程度です。
またウレタン塗料には硬化剤として「ポリイソシアネート」が使用されていますが、この成分は紫外線に弱く変色しやすい特徴があります。
さらに「ポリイソシアネート」は水との反応性がきわめて高いため、湿度の高い環境で施工すると接着不良を起こす可能性があります。
ウレタン塗料は万能だが需要は減っている
ウレタン塗料は、密着性がよく柔らかいことから、木材など動きの大きな下地にも適正のある万能塗料です。
しかし外壁塗装としての需要は減少傾向にあります。なぜならウレタン塗装は耐用年数が短く、塗り替えの周期が早くなるためです。現在普及が進んでいる「シリコン塗料」や「ラジカル塗料」と比較しても、材料コストは安くても耐久性は劣ります。長期的な視点からもコストパフォーマンスに優位性を見出すことはできません。
また近年では、他の塗料の目覚ましい性能向上とコストダウンもあり、よりグレードの高い塗料が注目を浴びているわけです。
ウレタン塗料の選択に適した人は?
ウレタン塗料は、ニーズに合った形で活用すると使い勝手のよい塗料です。どのような人に適しているのかご紹介いたします。
- コストをできるだけ下げたい人
- 耐久年数を気にする必要がない人
- 動きの大きな下地へ塗装したい人
ウレタン塗料は、主流のシリコン塗料よりも耐久性は劣りますが材料コストは安くなるため、初期コストをできるだけ抑えたい人の選択肢のひとつとなるでしょう。
また耐久年数である8~10年を目安に、売却や建て替えを予定しているのであれば、塗料のグレードを上げる必要はありません。ウレタン塗料を選択することで光沢を持つ高級感のある外観を演出できるでしょう。
木材やモルタルなど、乾燥や湿潤の影響を受けやすい素材へ塗装する場合、硬い塗料を使うとひび割れを起こしやすくなります。しかしウレタン塗料は柔らかく下地の動きに追従する特徴から、ひび割れしにくい塗膜を形成することが可能です。
まとめ
ウレタン塗料は、アクリル塗料と同様に住宅の外壁塗装に採用されることは非常に少なくなりました。しかし一部ではまだニーズもあり、シーンによっては使い勝手のよい塗料であることは間違いありません。
とはいえ大事なマイホームを長期的に守っていくには、より性能の高い塗料を使用することが重要といえるでしょう。
塗料に関する不明な点や塗装に関するご相談は、弊社のリフォームアドバイザーまで、お気軽にお問い合わせください。